【映画】Everything Everywhere All at Once(エヴリシング・エブリウェア・オール・アットワンス) ~カオスな世界と愛の物語〜

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こんにちは
ツルヒゲブログ~平凡大全~を運営しているツルヒゲです
今回は第95回アカデミー賞で7部門を受賞した映画
Everything Everywhere All at Once(エヴリシング・エブリウェア・オール・アットワンス)
の観賞後の感想・レビューです

概要・ストーリー

奇作『スイス・アーミー・マン』(2016年)などを手掛けたダニエル・クワンとダニエル・シャイナートが脚本・監督
第95回アカデミー賞で11部門でノミネート、作品賞監督賞主演女優賞など7部門を受賞
また主演のミシェル・ヨーがアジア人女性初の主演女優賞の受賞

主人公はコインランドリーを経営する中国系アメリカ人 エヴリン(ミシェル・ヨー)
そのコインランドリー破産寸前
認知症の頑固な父親、反抗期まっさかりの娘、優しいだけで頼りにならない夫に囲まれ、
日々のトラブルに頭を抱えている
ある日、そんな彼女の前に突如として現れた”別の宇宙から来た”という夫ウェイモンド(キー・ホイ・クァン)に「全宇宙の危機(カオス)を止められるのは君しかいない!」と告げられたエヴリンはわけも分からずマルチバースを行き来しはじめる
マルチバースの行き来によって得たカンフーマスターの能力でエヴリンは全人類の命運をかけた戦いに挑むのだが―

ファーストインプレッション

簡潔に感想を言うのであれば

『親子の物語であり、夫婦の物語であり、家族の物語であり、個人の恋愛の物語であり、全て愛情についての物語』

感想・レビュー

評価:☆4.1 / 5

観たことのないカオスを映像体験でき
そしてビックリするほど堅実で真っ当な回答をしてくれる
たくさんの”愛”についての物語
(終盤はホロリと泣いてしいました。笑)

ジャンルと作風

ジャンルとしては
SF・カンフーアクション・パロディ・コメディですが
発想や演出描写はかなりカオスな感じで
下品な演出やかなりぶっ飛んだ表現が多いので
好みが分かれる作品だと思いますが
ツルヒゲは好みの映画でした
※グロテスクな表現は苦手なのですがこの作品においてそういうシーンはほぼ出てきません

一見B級映画ともとれる発想で
一貫したテーマやメッセージ性が散り散りにもなりそうにもみえますが
細部までしっかりと練り込まれたシナリオと圧倒的なアイディアや編集により
案外、作品全体を通して情報が溢れた現代のこの世そのものを比喩表現しているようにも感じます
最終的にちゃんとまとまりを持った1つの作品になっているように思いました

ところどころ哲学的表現やセリフが多く
観ている側が汲み取らないといけないような要素も多々ありますが
それぞれの関係性やどのようなバックグラウンドがあるかなどの
重要ポイントを押さえていればあとは”体感”するのみ!
アトラクション感覚で楽しめます

対比表現のバリエーションが面白い

エヴリンとジョイ

全体的に陰と陽の対比関係が多く
主人公エヴリンを含めた登場するキャラクターたちは
生きている我々だれもが経験するであろう人生においての悩みをかかえているごく一般人
観ている側の我々も環境や境遇の形は違えど
自分の姿をどこか重ね合わせる瞬間があるなと多々あるなと思いました
物語に出てくるキャラクターたちはその悩みから逃れること=”別れ”をみんな選ぼうとしていて
それは人によって”離婚”であり”死”であり”拒絶”であり”破壊”であり”反逆”であるようにも感じとれます

作中主人公たちはそれぞれ別の世界、マルチバースにいるもう一人の能力をダウンロードして戦います
娘ジョイは多くの違う能力を持った自分に変わる変わる変身して、なりたい自分になって戦うシーンがでてきますが
これはだれもが感じたことのある一種の憧れや自己顕示欲の表現なのかなと思います
対して母親のエブリンは戦っている時は能力はあっても戦っている姿は元々の自分の姿で、
娘と母親は陰と陽の対比関係になっているように思いました

岩になるシーンついて

岩になるシーンは
全ての生命が生まれなかった世界に孤立すること
唯一無二の存在になることで安住の地を得て
そこから外界(主軸となる現実世界・生命が存在するマルチバース)に不平不満を言い
何も行動しない姿はまるで閉鎖空間または殻に閉じこもることを表現にもおもえて
現代のSNSなどネット社会構造の比喩でもあるのかなと感じました

”目のシール”とジョイの創った”全部のせベーグル”

額についた”目のシール”は第三の目であり”真実”や”希望”の象徴のようなもので
ジョイの創った”全部のせベーグル”は”死””破壊”の象徴のようなものととらえると
陰と陽の関係になっているし色も形も反転した構造になっている
”目のシール”と”全部のせベーグル”
どちらもあることで存在しうるものという矛盾でもあり答えでもある
それはこの映画の一つの答え「それを抱えて選択し生きていくこと」に繋がっているようにも思いました

作品に込められたメッセージ

夫のウェイモンドが作中語った内容を要約すれば

「人は不安だから混乱しているから攻撃し破壊する
そうではなくて、受け入れること理解することそしてそれ踏まえて親切にすること
不安になって混乱してもそういう時こそ親切にすることが大切だ
そして自分の嫌いなこと自分の意見、自分の性格、自分の弱さ
それも全て自分であるということを否定せず受け入れていくこと
攻撃や破壊、死を選ぶのではなく
親切、思いやりを持って人と関わって生きていくこと
今ここにある幸せを感じて大切にしていくこと
それはとてつもなくかけがえのないものである
人はいつでもやり直せる、変わることができる
どんな人生を選んだとしても良い面も悪い面もある
”憧れのもう一人の自分”、”別の能力”を得たとしても解決できないものがあって
ここにいる今の自分が変わっていくことで強くなることができる、良くしていくことができる」

というような
いろんな問題を抱えて生きている現実のこの”カオス”な世界で手をとりあって生きていこう
というメッセージがこの作品には込められているように感じました

まとめ

おもってもみない方向から面白さと感動がやってくる
支離滅裂にみえて鑑賞者を迷子にさせないすごいバランスをもった作品だと思います

”何事もやってみなければわからない”

”やる前に優しくなって心を開く”

”失敗してもやり直せる”

自分で選択し
自分で未来は変えていける
そしてどんな未来も良くしていける

わたしにとっては
”愛”と”希望”が詰まった心にグッとくる映画でした
たくさんの愛のカタチが作品に散らばらめられていて
観た人によってたくさんの考察とメッセージの受取り方があるとおもいますので
是非、観賞後周りの人と語り合ってみてください!

 

 

良き映画体験を!

ツルヒゲ

この記事を書いた人
ツルヒゲ

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30代を目前に急に髪が薄くなったことをキッカケに
スキンヘッドにヒゲというスタイルで運良く一般企業に就職
休日は育児をしつつ家族とコーヒーを飲みながら過ごしたり
バンドやサウンドクリエイターなどの音楽活動しています

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